February 2015

2月のインテリアレポート:

Mrs. Ann Lingardの友人のMrs. Tricia Massey(トリシア マジー)をご紹介します。
TriciaはNew Zealand生まれ。ニュージーランド首相を務めたWillam Masseyを祖父に持つ家柄です。 英国人と結婚をしイギリスで暮らし始めて50年の歳月が過ぎました。
子育て中はLondonの大きな家に住んでいましたがご主人が亡くなられてからケント州のTenterden(テンタドン)のコテージで一人暮らしをしています。


 
 トリシア(右)とアン。二人は同じ時代を生きてきた女性達です。
子供を育てながら仕事を続けいつも自分らしく暮らしてきました。
歳を重ねて益々素敵なふたりです。


       
2月の寒い日にTriciaを初めて訪ねました。 彼女の住むコテージは築200年経っています。
ゲートをくぐり芝生のアプローチの奥に入り口が見えます。イギリス人の家を訪ねるたびに思うことのひとつにアプローチの作り方の上手さです。どんな方が住んでいるのかしらと想像力が掻き立てられます。 コテージの扉を開けると中は細長いホールです。古いコテージにありがちな作り方でドアを開けると中はほぼワンルーム。トリシアの家はホールの左手にリビングルーム。その奥にキッチンとダイニングが続きます。
   
古い家なので廊下も階段も狭いですが壁面は長年集められてきた絵がかかっています。
廊下の正面の椅子がウェルカムな雰囲気を誘います。
このコテージの階段も狭くてぎしぎし音を立てますが居心地の良い空間です。階段の途中の小さな踊り場の空間は本棚やワインラックが収まっていました。上手に収納しています。 トリシアはロンドンで暮らしていた頃インテリアデザイナーとして活躍していました。この家のファブリックも壁紙もすべて彼女の作品です。シックなトリシアらしいデザインです。 一人暮らしになってからコンパクトでミニマムな暮らしを心がけているそうです。
バスルームも小さいけれど清潔感いっぱいでした。
イギリス人たちのバスタイムはシャワー中心です。バスタブにお湯を入れることが少ないので湿気もこもりません。バスルームがお部屋のようになる理由ですね。 ゲスト用のベッドルーム。 ベッドルームには必ずお湯のでるシンクが付いています。お部屋で洗面ができて便利です。 こちらのカップボードの中にはスペアブランケットやリネンが収納されています。お部屋には作りつけのクローゼットがなく家具収納中心です。
       
1階に戻ってきました。階段室の前はダイニングとキッチンです。 一人で動きやすい配置にシンクや食器棚が配置されています。アンのキッチンも同じでしたがお料理を楽しむ様子が伺えます。 キッチンは南側に位置しているのでお庭へ出るドアの外にコンサーバトリーを作りました。 読書やお茶はコンサーバトリーの中でするのよと話してくれました。明るくて暖かい素敵な空間です。
       
1階のホール左側に入ると来客用のラウンジ兼リビングルームがあります。トリシアのおじい様がエドワーディアン時代に集められた絵画が沢山飾られていました。絵画は家族から引き継ぐものだそうです。 コーナーソファは彼女専用だそうです。クッションの組み合わせ方を見るにつけ彼女がインテリアデザイナーだということを思い出します。 フロントガーデンに面した窓の前のソファのクッションもソファと同色中心に補色の赤を入れています。よく見るとサイドテーブルのランプベースも赤です。本当におしゃれですね。 キッチンの外のコンサーバトリーからバックガーデンに抜けられます。ここからTenterdenの街へお買い物に出られます。
       
トリシアの家の前の景色。町並みが美しいですね。 Kent州はイギリスの庭と呼ばれるほど美しく豊かな州です。その言葉はテンタドンの街を見るとうなづけます。 アンティークショップも多くRyeからも車で20分ほどの距離なので私もよく訪れます。 ハイストリートにはLondonのKensington Highstreetに軒を並べているお店たちも出店しています。規模は小さいけれどここで全部揃ってしまいます。
     
ハーフティンバーの建物も中は有名なカフェやセレクトショップ。 B&Bの朝の風景。イギリスの豊かさのひとつは
このような朝食風景にもありますね。
Kent州ではビールのホップが盛んに作られていました。ホップを乾操させるためのサイロはこのあたりの風物になっています。 のどかなケントとサセックスの田園風景です。


トリシアを訪ねたときにQuality of Life(人生の質)という言葉が浮かびました。子供のころからきちんと暮らしてきた結果が歳を重ねた現在にもよく見えます。
理想的だなと感心するのは老後の暮らし方です。アンも同じですが一人で自立した美しいライフスタイルに感銘を受けます。
衣食住に関わることすべてに美しくありたいと思う気持ちがスタイルに現れています。

質のよい人生を仕舞うための気概は精神的な自立が基本です。
こうありたいといつも思います。



2015年2月 荻野洋子